流風一詩 全リスト

夜稿百話に続いて『流風一詩』のシリーズを開設いたしました。「流風」とは後世にまで伝えられる優れた風習を指しています。優れた詩、短歌、俳句などを毎回一作品取り上げ、その作品の背景や作家の生涯をご紹介します。

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流風一詩 第8話 屈原『九歌』

左 吹野 安『楚辞集注全注釈』右 屈原像  陳洪寿(1598~1652) 今回の流風一詩は屈原の『九歌』を取り上げます。九歌・九弁は禹の子である啓が天上から持ち帰り自らの統治を祝った歌とされる (白川静『楚辞文学』) 。屈原は、楚の巫覡(ふ...
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流風一詩 第7話 ネリー・ザックス『子供たちが死ぬときには』

ネリー・ザックス(1891-1970)『ネリー・ザックス詩集』死んだ子供が話すかあさんはぼくの手を握っていたんだ。すると誰かが別れの刃 (やいば) をふり上げた――それがぼくに当たらないようにかあさんは手を離したんだ。でもその手はもう一度ぼ...
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流風一詩 第6話 北原白秋『青いとんぼ』

左 『北原白秋詩集』 右 北原白秋(1885-1942) 乳母の背中から手を出して蛍の光とも見えぬ光を握りしめ、柔らかい乳房に頭 (こうべ) を圧 (お) され怪しげな何者かを感じた幼年時代。郷里柳河 (柳川) は静かな廃市、水に浮いた灰色...
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流風一詩 第5話 イヴォ・アンドリッチ『生涯の不安』

左 イヴォ・アンドリッチ『サラエボの鐘』「生涯の不安」収載右 イヴォ・アンドリッチ(1892-1975) サラエボの街角、淡い光を湛えた書店のショーウィンドウ、そこにはオーストリア支配の証しのようにドイツ語で印刷された端正な本が並んでいた。...
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流風一詩 第4話 吉田一穂『暗約』

吉田一穂(1898-1973) 『定本 吉田一穂全集Ⅰ』詩篇 その古書店は、街の喧騒から取り残されたようにひっそりと佇んでいた。薄暗い店内の奥、埃の匂いと古い紙の香りが混ざり合う棚の隙間に、私は「それ」を見つけた。『定本 吉田一穂 全集』 ...
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流風一詩 第3話 蘇軾『海市 并びに叙』

中国詩人選集6 『蘇軾』 山東半島から望める渤海湾は古くから「仙界の入り口」として知られていた。秦の始皇帝はこの山東半島の山々に足繁く通ったという。渤海の水平線の彼方には蓬莱 (ほうらい)、方丈、瀛州 (えいしゅう) といった仙人たちの住ま...
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流風一詩 第2話 フランソワ・ヴィヨン『遺言の歌』

左『フランソワ・ヴィヨン』ルートヴィッヒ・ルルマン 画右 堀越孝一 『遺言の歌 ヴィヨン遺言詩注釈 Ⅳ 下』  フランソワ・ヴィヨンは1431年、つまり中世の秋が幕を閉じようとする頃、呱々の声をあげる。一説にはフランス中部のブウルボンネに領...