ueda nobutaka blog

夜稿百話  ブログ全リスト

第75話 石を聴く― 天と地を結んで蹴つまずくもの

わたしは星が好きだ道の上の石に似ているから空をはだしで歩いたらやはり星にけつまずくだろうわたしは道の上の石が好きだ星に似ているから朝から晩までわたしの行く先を照らしてくれる(イジ―・ヴォルケル『巡礼のひとりごと』栗栖継 訳)瑪瑙   カツァ...
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第74話 ミルチャ・エリアーデ『太陽と天空神』お天道さまと雷電と豊穣の牡牛

宗教学概論1ミルチャ・エリアーデ『太陽と天空神』第一章 概説第二章 天空ー天空神、天空の儀礼と象徴第三章 太陽と太陽崇拝  ミルチャ・エリアーデの宗教学概論が如何に素晴らしい著作であったかを思い知らされる。まず何よりも、その視界の広さと高さ...
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第73話 アビ・ヴァールブルク『デューラーの古代性とスキファノイア宮の国際的占星術』星神たちは東へ西へ

ヴァールブルク著作集 5『デューラーの古代性とスキファノイア宮の国際的占星術』 初期ルネサンス文化は個性表現へと目覚めた天才芸術家がもたらしたものでもなく、この時期固有のイタリア美術が、もたらしたものでもないとヴァールブルクは主張する。それ...
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第72話 ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『残存するイメージ』 快感原則の彼岸から浮かび上がるイメージたち

ジョルジュ=ディディ・ユベルマン『残存するイメージ』 自然と人体の理想美が見られる古代ギリシア芸術を賛美し、その模倣としての美術を定式化したヴィンケルマンの新古典主義美術史。そうではなく、それらが提起するものとは異なる美術史はないのか。イメ...
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第71話 チャールズ・サイフェ『宇宙を複号 (デコード) する』 ブラックホールの中の情報は何処へ行く?

チャールズ・サイフェ『宇宙を複号 (デコード) する』 2007年刊  相手に何かを伝えたい、コミュニケーションしたいという衝動は、群れて生活するものにとって切実である。非常事態宣言が出て外出自粛になっても、知り合いがスーパーにいれば、つい...
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第70話 「量子世界は表象可能か」量子力学の「おかしい」を考える

ケネス・フォード『量子的世界像 101の新知識』2014年刊 電子には、大きさがない。現在分かっている限りでは内部構造を持たない。陽子の約2000分の一というわずかな質量はあるが大きさがない。電荷があり、スピンがあるのに大きさがない。大きさ...
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第69話 コンスタンチン・ケドロフ『星の書物』双曲幾何学は星を食べる

コンスタンチン・ケドロフ『星の書物 東方的・詩的宇宙ヴィジョン』 19世紀ロシアの詩人アナファシー・フェートは星座を「夢の象形文字」と呼んだ。星空は宇宙時計が過去から未来を照らすディスプレイだ。星座は、その象形と輝きを通して人間に作用し続け...